年末年始にやったこと
年末年始の読書状況をまとめます。
すでに書いたお気の毒な弁護士とプロフェッション原論は割愛します。
1 論究ジュリスト
倒産・事業再生関係の論文を中心に読みました。
倒産・事業再生は理論というよりも、混乱状態をどう道筋をつけて、効率よく動くかということが大切なのですが、やはり一定程度の知識は必要だろうと思い、勉強を再開しています。
全体的にとがった論文は少なく、きれいに整理されているなと思いました。
2 Q&A100-CRIC著作権相談室から-第2版
コピライトの連載の書籍化。
簡単なQ&Aを見開き2Pで解説するというもの。
Q&Aを見て、答えを考えて、方向性があっているかを確認するという使い方で、通読。
基礎編は基礎的な内容で知っていることばかりでしたが、応用編はいくつか勉強になる記述がありました。
何年か前に勉強の成果を書籍化する機会があったのですが、やはり知識は抜けますね。
お気の毒な弁護士
1 購入動機
マチ弁から最高裁判事になるという異色の経歴に興味があったので購入。
2 感想
マチ弁が最高裁判事になれたのは、本人の能力はもちろん、司法研修所の所付・教官という要職を経て、弁護士会の民事訴訟委員会を経験するなど、きちんと公職的なキャリアを積んできたというところに尽きるのではないかと思いました。
こういうところで評価される仕事をしてきたからこそ、裁判所も信頼して採用できたのではないでしょうか。
ただ、この人の経営に関する考えは、プロフェッションらしいとはいえ、継続可能性がなく、あまり褒められないなと思いました。
最高裁判事になるときに金策に苦労するというのは、行き当たりばったりの経営と非難されても仕方ないのではないでしょうか。
このほかに勉強になったのは以下のとおり。
・地道な調査が大切。
・裁判官にわかりやすく伝えるように工夫する。
・初めて依頼する弁護士に大きな事件を頼まないから、報酬が少なくても、小さな事件を誠実に処理することが大切。それが大きな事件や紹介につながる。
・自分の仕事が常に誰か(裁判所等)に見られていることを忘れない。
プロフェッショナル原論
1 購入動機
中山達樹先生が勧めていたので、購入。
2 感想
自分に欠けているのは、sense of ownershipだなと実感。
とにかくミスが怖くて、他人に意見を求めがちなところは直すべきです。
自分で徹底的に悩みぬいて、自信をもって決断できるようになりたいですし、それが最低限プロとしてのあり方なんでしょう。
キャラクターについては、列挙されているプロアクティブ、チャレンジング、インディペンデントという特性を列挙していたけど、これらは頼れそうって印象にもつながるから、仕事にもつながるのだろうなと思いました。
残念ながら、私はこれらを欠いているけど、資格でメシを食べようとしているのだから、意図的に矯正しないと今後がしんどそうだなと自分でも思います。
できるだけ個性に反しない形で、頼れそうという印象を与えることができるかが来年のテーマですかね。
法律時報2020年12月号
1 購入動機
中村直人先生の「弁護士になった『その先』のこと。」P134に学会回顧くらい読んでおけと書いてあったため。
2 感想
学会回顧をざっと読んだけど、オーバースペックだなぁという印象。
おそらく中村先生のように実務のみならず、学説も追い続けている人が読めば多くを得られるのでしょうが、私のような雑魚が読んでも、そうなんだー程度で終わってしまい、どう生かしていいのかがわからないというのが正直なところ。
とりあえず3年は継続しますが、どうなることやらという感じです。
1年経って
早いものでこのブログを始めてから1年が経ちましたね。
ブログを始めた理由はアウトプットを継続するという点にあったような気がしますが、全く目標を達成できていませんね。
英語については、中途半端にTOEFL英単語3800をやっていますが、コロナ禍でTOEFLを受けることもしていません。
ただ、英語力はあって損はないので、細々と続けようと思います。
個人事件は前半はさっぱりでしたが、後半は何件か受任することができ、200万くらいにはなりそうです。
ただ、すべてスポットでの依頼なので、先に続く見込みがありません。
この仕事をしている以上は、一人で生計を立てられるようにならねばと思うのですが、その道はとても厳しいように思います。
いずれにせよ、少しずつでも何かを始める必要があると思います。
ターゲットをどこに絞るか、何をするかをよく考えて動いていきたいと思います。
ケース別法的交渉の実務
1 購入動機
ボスと方針が相反したときに、ボスの方針でうまくいくことが多いため、交渉に強くなってボスを見返してやりたいと思ったため。
2 感想
総論部分はよくまとまっていました。
ただ、各論部分は微妙です。法律論を解説してそれで終わりというものも少なくありません。
その原因は説例の練りこみが足りないことにあるように思います。
その中でもきらりと光る説例は、債権回収交渉、不動産関係の交渉(建物明渡し)、普通建物賃貸借契約における賃料増減額交渉、中小企業によるクレジット利用の詐欺被害をめぐる交渉の4つだったように思います。
おそらくこの分野を担当した著者は実務経験が豊富であると推察され、かなり踏み込んだ検討をしていて、大変勉強になりました。
また、各論の解説を読んでいて、総論と各論をリンクさせることはかなり難しいように感じました。
とはいえ、少しずつでも交渉上手になれるように場数を踏んでいきたいと思います。
論究ジュリスト2020年夏号
1 購入動機
著作権関係の特集であることから購入
2 感想
座談会がとにかく豪華。
歴史的な経緯もまとめられていて、とても勉強になる。
論文については、かなりハイレベルで、理解が追い付かなかった論文があった。
もっとも、公衆送信権、侵害主体論、技術的手段実効性確保規定に関する論文はわかりやすくまとまっており、よかったと思った。
ただ、侵害主体論については、理論的には支分権該当行為の主体と関与者の責任を切り分ける必要があるとしても、裁判では関与者への請求として立てられているため、関与者の責任を認めるロジックを記載すれば足り、支分権該当行為の主体とその責任(関与者以外の者)の認定が必須ではないというところに問題があるのではないかと思った。