Scrapboxによるまとめ

1 最近、東京大学の白石教授がScrapboxというサービスを用いて、法学入門に関する記事をまとめていることに気付きました。

https://scrapbox.io/ho/

2 それをみて、ふと、このサービスは論点ごとのまとめに適切なのではないかと思い立ち、実務での調査メモをネットで上げる作業を行い始めました。

3 このサービスのいいところは、リンクによって情報を関連付けることが容易である点です。これにより、断片的にまとめた論点メモを体系化することが容易になるのではないかという期待があります。

 逆にこのサービスで不満が残るのは、箇条書きによって文頭を下げるしかなく、インデントによる調整ができないことです。

 一応、箇条書きの・を消すことによって、文頭を下げることはできますが、その場合は箇条書きができなくなってしまうという問題があります。

4 とはいえ、リンクによる関連付けというメリットはデメリットを大きく上回りますので、少しずつ作業を進めていきたいと思います。

 

弁護士になった「その先」のこと。

 

弁護士になった「その先」のこと。

弁護士になった「その先」のこと。

 

 『日経ビジネス』の弁護士ランキング企業法務分野1位の先生が新人弁護士向けに書いた本ということで、学ばせていただこうと思い、購入。

ありきたりな本だと思っていたら、思った以上に、学びがある本でびっくりしました。

多くのボスが考えていることが書いているので、若手は必読だと思います。

 

本の内容のネタバレになってしまいますが、特に感銘を受けた点は、以下の2点です。

1 顧客の目線から物事を考えるということが徹底されていること

  E.g.弁護士は早朝型がいい

2 技術の研鑽を怠らないこと

  E.g.法律時報の文献月報にも目を通す

 

 

中村先生のように腕のいい弁護士になれるように努力していきたいと思います。

法学教室2020年7月号

 

法学教室2020年7月号

法学教室2020年7月号

  • 発売日: 2020/07/10
  • メディア: Kindle
 

 

以下、雑多な感想です。

 

1 巻頭言

巻頭言といえば、成仏理論とかエッセイ的なものであるのが通常ですが、今回の巻頭言は債権法改正の契約不適合責任に関する改正に疑義を示す内容でした。

しかし、可分な給付の一部不履行については不適合責任に基づく追完請求権及び代金減額請求権を認める必要はないという指摘はもっともであり、大変勉強になりました。

 

2 民法の重要論点を解きほぐす

理論的で難しい論文もありましたが、概ねまとめとして有用だったと思います。

相続による権利証系の対抗要件については、動産の相続の問題は改正によりかえって余計な論点を顕出させてしまったように思います。

不当利得の類型論については、類型論でどこまで裁判所を説得できるのかはやや疑念があります。要件事実的には出てこないものの、背後にある考え方として考慮されるのではないでしょうか。

譲渡制限特約も債権譲渡担保を活用しやすくするために、かえってごちゃごちゃしてしまった改正のように思います。

保証人に対する情報提供義務は、よくまとまっていて学生向けの論文としてはとてもよかったのではないでしょうか。

委任と代理は、両者を分離することなく全体構造を考えるべきという著者の結論には納得できますが、そのことを議論することで実務的にどれだけのインパクトがあるかといわれると若干の疑念があります。

純経済損失と不法行為法は、最判平成19年7月6日は大学3年生のときにゼミで扱いましたが、結論としてよくわからなかったという苦い思い出のある裁判例です。

不法行為と契約責任の関係、保護法益などいろいろな問題がありますが、やはりこの事件は耐震偽装問題が盛んに取り上げられていた時期の判例ということは忘れてはならないのではないかと思います。

また、最判平成31年3月7日判決は、この論文で初めて知った判例でしたので、大変勉強になりました。

 

3 国際自動車事件(第二次上告審)

最初に読んだときは、法システム的に仕方ないとはいえ、5年もかけて第二次上告審までやるような話かというのが素直な感想。

ただ、中身を見てみると、使用者側がそれなりに考えて制度設計をしていて、なかなか難しい事案だったなという感想を抱きました。

ただ、第一次上告審の後の差戻審が、割増賃金の控除により、通常の労働時間の賃金部分がなくなるという点を指摘できていれば、このような最高裁判例は引き出せなかったかもしれませんね。

論文は難しい内容を分かりやすくまとめていて、大変良かったと思います。

 

4 スポーツ選手とパブリシティ権

ピンクレディ事件が有名ですが、シルエットにもパブリシティ権が認められうるという指摘は勉強になりました。

 

5 憲法連載

学生のころから思っていたことですが、基準を作るということは硬直性を容認するということだから、裁判実務は比例原則でフリーハンドにやりたがるだろうなと思いました。

 

6 行政法連載

教科書を再読しているようで、復習にはとてもよいですね。

 

7 民法連載

連帯債務は、影響関係、求償関係と分けると、最初は理解できるんだけど、問題を考えようとすると、ぐちゃぐちゃになりがち。

債権法改正により、不真正連帯債務をどう位置付けるかは難しい問題ですね。

ところで、絶対的効力自由って「性交爽快コンドーム事故ごめん」(請求、更改、相殺混同、時効、免除)で覚えていましたね。債権法改正で、請求、時効、免除がなくなるのは残念です。

 

8 会社法連載

さすがに司法試験に受かっただけあって、このレベルの問題は、きちんと解けて安心しました。

 

9 民訴連載

最後の重複訴訟の禁止と相殺の抗弁に関する工夫はなるほどと思いました。

 

10 刑法連載

事後強盗罪の共犯の処理は悩ましいですね。裁判実務は身分犯説なんでしょうけど、のぞき込むと深淵が広がっている分野で、あまり好きではないです。

 

11 刑訴連載

平成17年判例の丁寧な解説に感動しました。

一番、勉強になった指摘は、321条1項3号と321条3項の重畳適用の議論で関連性が出てきたところ。この視点は全くありませんでした。

あと、最判平成27年2月2日は知らなかった。平成17年判例があるのに、これをやってしまった第一審の裁判官は相当恥ずかしいだろうなと思いました。

 

12 演習憲法

一番最初に気になったのは、公民館が写真を掲載する義務があるかってところがひっかかりました。

理論的にはこういう相談は面白いけど、間違いなくペイしないので、受任する人は限られるだろうなぁというのが素直な感想。主題規制と観点規制は初めて知りました。

 

13 演習行政法

行手法36条の2が設けられたことをこの連載で知りました…

 

14 演習民法

94条2項は忘れていても、なんとなく覚えていますね。法定取得説は、民法というよりは要件事実論で勉強した記憶があります。

 

15 演習商法

私が受験した頃は、経営判断原則は、前提については審査密度を高めて、判断については緩く審査するというのが主流だったように思いますが、最判平成22年7月15日は両方とも緩やかな基準で判断すると読むのですね。

 

16 演習民訴

もはや忘却の彼方ですね…

 

17 演習刑法

クロロホルム事件も細かいところは覚えていないですね…

 

18 演習刑訴

警備犯罪の現行犯逮捕に関する条文(217条)に気付きませんでしたね… 

恥ずかしい失敗

破産事件だと、民事留置権は相手にする必要がなく(破産法66条3項)、商事留置権のみを相手にしていればいいため、破産事件ばかり扱っていると民事留置権の存在を忘れがちになってしまいますね。

 

民事留置権は、債務者所有ではなくてもいいものの、物と債権との間に牽連性が必要であるのに対し、商事留置権は牽連性が不要であるものの、債務者所有に限られるため、ある意味一長一短です。

しかし、意外と第三者所有の物を保管しているというケースは多く、民事留置権は侮れません。

弁護士の営業戦略

 

 

1 購入動機

顧問契約のメリットはあまりないんじゃないかなと思っていたので、有名な使用者側の先生がどのように考えているのかを知るために購入。

 

2 感想

 

著者は顧問契約のメリットとして、以下を提示します。

①クイックレスポンス

②正確かつ最新の情報

③従業員に対する緊張感

④従業員間のトラブルの事前防止

セミナーにより従業員への気づきを促す

⑥法令順守意識の社外へのアピール

 

確かに経験豊富なベテラン弁護士がサービスを提供するのであれば、それだけの付加価値があるのかもしれませんが、果たしてこれだけのサービスに月額5万円を払う価値があるかといわれるかといわれると、私はそれだけの価値をまだ見出すことができていません。

ところが世の中にはこれだけのお金を払う経営者は無数にいます。

そうすると、やはりサービスの内容ではなく、サービス主体に価値を見出しているのではないかと思うに至りました。

つまり、この弁護士には安心して相談できるという安心感が顧問契約の一番の効用なのではないかと思うに至りました。

そうであれば、顧問契約の営業では継続的な関係を作り、自分のことをよく知ってもらうことが大切です。

この点、この著者の先生は、単純接触効果を維持すべく、依頼者への訪問や情報提供を継続しているとのことでした。

こういうことを続けるのは簡単なことに見えて、なかなか難しいと思います。弁護士として成功されているのも、こういう粘り強い努力に一因があるのではないでしょうか。

そこで、他人と触れ合うことはたいてい不愉快なことを伴いますが、しばらくは以下の方針でちょっと頑張ってみようと思います。

 

1 なんでもいいので、常に個人事件が1件はある状態をキープする。

事件を通じていろいろな人と知り合う機会を確保しようと思います。

刑事事件であっても関係者が経営者ということもありうるわけで、そこからつながりができるかもしれません。

2 研究発表の機会を作る

セミナーをやるなりして、知識と経験を定着させつつ、自分の存在と専門性を知ってもらう。

3 趣味を作る

いろいろな人と関与できる趣味を作ろうと思います。ランニングなど一人でできる趣味はさすがにNG。

若手法律家のための民事尋問戦略

 

若手法律家のための民事尋問戦略

若手法律家のための民事尋問戦略

  • 作者:中村 真
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 単行本
 

 

1 尋問技術の勉強のために購入しました。

「若手法律家のための」という文言から明らかなように、初心者向け、要するにボトムアップのための書籍です。

親しみやすい文体で記載されているため、1日で通読できる分量です。

 

2 個人的に勉強になったところは、反対尋問と補充尋問への付き合い方でしょうか。

ただ、本質的に重要なのは、尋問の前提となるストーリー、要証事実の整理を行うことだと思いました。

この土台ができて初めて、本書で議論されているようなテクニック的な側面が浮き彫りになってくるのではないでしょうか。

iPhone SE(第二世代)への乗換え

iPhone SE(第二世代・128G)(以下「SE 2」といいます。)を購入しました。
スマホに関してはそこまで詳しくもないのですが、機種変更の過程についてまとめておこうと思います。

1 スマホの経歴
キャリアは一貫してau
端末は、Xperia acro HD IS12S→iPhone SE(第一世代・64G)(以下「初代SE」といいます。)という乗り換えを行ってきました。
Xperiaでは3G回線だったので、ネット、SNSぐらいしかやっていませんでしたが、買い替えを検討しているタイミングでちょうど初代SEが発売し、手頃な価格であったため乗換えを決心しました。
初代SEに移行した後は、ネット、SNSに加え、キンドル、ゲーム(FGO)等が主な用途になっています。

2 今回の買替えの動機
1回だけバッテリー交換しましたが、4年間ほど初代SEを使い倒しています。
しかし、3年6か月が経過する頃に、ホームボタンが機能しないという不具合が生じました。
再起動するたびに「このiPhoneでTouch IDをアクティベートできません。」という表示が出るので、おそらくハードウェア的な問題だろうと思います。
4年弱もの間、毎日のように押しているので、壊れるのも仕方ないですが、ホームボタンが機能していなくても、Assistive Touchを利用できるので、日常的な使用には問題ありませんでした。
とはいえ、誤ってAssistive Touchを触ってしまうことが多々あり、いい端末があれば買い替えたいなと考えていました。
ちょうどそのときにSE 2が発売されました。
前記の故障に加えて、①SE 2の端末価格が安価であること、②SE 2は初代SEと異なりSuicaに対応していること、③初代SEに対するiOSの対応が遠くないうちに打ち切られる見込みであることから、機種変更を決心しました。

3 購入時の悩み
購入時に悩んだのは、購入先、色、Apple Care+です。
(1)購入先
キャリアで購入するか否かは少し悩みましたが、auのかえトクプログラム(2年後に端末が回収される代わりに購入価格を割引くシステム)を利用しない限り、端末価格はAppleの方が7,000円ほど安いです。
もっとも、初代SEのauユーザーが、AppleでSE 2を購入した場合、au Shopに出向いてSIMカードを変更(3,000円)する必要がありますので、差額は約4,000円になります。
au Shopに出向く手間を考えるとなかなか悩ましかったですが、素直にAppleで購入することとしました。

なお、初代SEが美品であれば、下取りに出すことで4,400円(ただし、Walletポイント)を回収できるため、ちょうどAppleとの差額が埋まる計算になります。
もっとも、私の初代 SEの外装がそれなりにボロボロになっており美品とは言い難い上、通話用端末として活かす道もあるのではないかと考えたため、下取りには出しませんでした。
(2)色
色は、黒と赤で悩みましたが、コロナ対策に使用されるというCSR的な観点から赤にしました。
(3)Apple Care+
Apple Care+は加入しませんでした。
スマホケースをつけずに初代SEを使用しており、何度かコンクリートの地面に落としたりもしていたのですが、結局、4年間で行った修理は、2年6か月目頃のバッテリー交換1回だけでした。
他方で、Apple Care+に入ると元を取るためには、バッテリー交換2回かそれ以外の修理1回が必要になります。
そのため、2年以内に問題が生じる可能性は低く、Apple Care+に加入しないほうが有利であると判断し、代わりにケースやガラスシートにお金を使うことにしました。

4 機種変更時の問題点
初代SEのiOSを最新にしていたため、クイックスタートを使用することができ、あっさりと乗換えに成功しました。
ただし、auの場合、SIMカードを変更しなければならなかったため、au Shopに出向いて手続を行う必要がありました。
向こうもマニュアルを遵守しなければならないというのは理解しているのですが、店頭に行くと色々勧められて煩わしいですね。
30分程で機種変更手続が終了し、正式にSE 2を運用し始めました。

5 使用感
サイズは初代SEと比べると大きくて、片手で保持するのはギリギリなので、なかなか操作感に慣れないですね。
ただ、画面が大きくなったので、漫画や動画はかなり見やすくなりました。

ホームボタンは感圧式に変わったため、最初は違和感がありましたが、すぐに慣れました。

アプリの動作も明らかに起動が早くなっており、満足度は高いです。

6 まとめ
初代SEを使用している人には機種変更をおすすめできると思います。
iPhone 8でもスペック的には十分なのでしょうが、iOSの対応期間を考えると、今から乗り換えるのであれば、SE 2一択なのではないでしょうか。

ところで初代SEも電話だけであればまだまだ使えます。
なんとかこれを有効活用できるように使途を少し考えたいと思います。